第3の人生への準備
第1の人生は生まれてから結婚するまで、第2の人生は結婚後子供が自立するまであるいは仕事をリタイアするまで、と言われます。
そして、これらの期間を乗り越え、自分らしい時間を謳歌するのが第3の人生です。
しかし気が付けば、若いころのような体力がなく無理がきかない、新たなことを習得するにも時間がかかってしまう、思うようにてきぱきと動けないなど、いろいろと悩みは尽きません。
今や平均寿命は男性80歳女性86歳、いま元気な60歳以上の方の平均余命は90歳にまで伸びています。ですから人生の終焉が訪れるまでにはまだまだ長い年月があるということです。
この間最後の時間を迎えるまで活躍し続けるのが「歯」です。今回はこの歯のとの関係についてご紹介します。
ピンピンコロリと口の健康
いくら寿命が長くなったからと言って、ただ単に生きているだけというのでは意味がありません。もし寝たきりになったり認知症になれば、本人の意思とは異なり周囲に大きな負担をかけてしまいます。
このため、できれば「ピンピンコロリ」の人生であってほしいと誰もが願っています。
平均余命が90歳を超える時代へと入り、この寿命の中身・質を考えなくてはならない時期となってきました。
そこで注目すべきポイントは「健康余命」という概念です。健康余命とは平均余命から寝たきりや認知症になってからの平均年数(不健康余命)を差し引いた年数を言います。平均余命が健康余命と同じ人、つまり不健康余命の期間がない方がピンピンコロリで人生を終えた方ということになります。この健康余命では、お口の健康と一定の関係があることがわかっています。
右上のグラフをご覧いただければわかりますが、歯がしっかりと残っていてよく噛める人の方が平均余命が長く、不健康余命が短いという結果です。
逆に歯が無くなり、よく噛めない人は、平均余命が短く、また不健康余命が長いという結果となっています。
噛む能力を守る
歯周病や虫歯は病気そのものが科学的に解明され、これらの病気から歯を守ることはさほど困難ではなくなってきました。
しかしながら歯が残っているからよく噛めるということは言えません。
よく噛めるためには残っている歯が口という機能を正しく維持していなければならないからです。しっかりと噛むためには、口という臓器の構成要素である、「顎関節」「筋肉」「上下の歯の接触関係(かみ合わせ)」「歯周組織(歯を支える歯ぐきと骨)」そして「頑丈な歯」のすべてに調和がとれた状態で、健康でなくてはいけません。
そのためには、まずこれらの状態を正しくチェックし、問題がないかを確かめることが必要となるのです。
もし問題が見つかれば、出来るだけ早く問題を解決し、まずは健康な状態に整えることが賢明です。このためには、かかりつけの先生に申し出て、このような要素について総合的な診査をしていただくことが必要です。
もしそのようなかかりつけの先生がいない場合は、デンタルドック(歯の人間ドック)を受診することもよいでしょう。
「ピンピンコロリ」を目指すならば、まずは「お口の健康管理」という認識を持ちましう。そうすれば健康余命が伸び、豊かな第3の人生を楽しんでいただけます。