変わりゆく医療
現在のお医者さんは一昔前と変わってきたということを感じておられますか?
昔の医療者は、パターナリズムと呼ばれる医療者としての倫理観を守るように教育
されました。
パターナリズムとは「家父長的温情主義」とか「親権主義」などと訳されますが、
医療の現場では、
「素人の患者さんに医療上の判断をさせることなく、患者にとってより良い結果を専門家である医療者が判断し患者を善意の心によりより良い結果へと導くべき」
というものです。
しかし今やその倫理観は世界的にも否定されました。
現在は、
「医療は患者のものであり、患者自身がどのような医療を受診するかを
自己決定しなくてはならない。医療者はそのための支援をする立場である」
という患者中心の倫理基盤に変化したのです。
アウシュビッツが
患者の権利の起源だった
この患者中心の医療倫理観は第2次世界大戦のアウシュビッツでの反省から
巻き起こったものでした。
アウシュビッツでのユダヤ人大量虐殺は皆さんが御存知のことですが、
そこでは医学の発展という美名のもとに多くの人体実験が行われました。
それは、たとえば治療の効果がどのようなものであるのかを確認する為に、
まだ息のある人体を解剖し様子を観察するといったものでした。
このような戦争での悲惨な教訓から、医療現場でも基本的人権が最も優先されなければならないものという考えが巻き起こり、 患者の権利をどのように守るべきかと
いう議論がなされたのです。
1947年ニュルンベルク綱領に始まり、1981年のリスボン宣言、そして1995年第47回
世界医師会総会で採択された「患者の権利に関する世界医師会(WMA)リスボン宣言の改訂」において、守られるべき患者の権利の内容が明確にされました。
そしてその内容は病院では必ず掲示されている「患者の権利章典」として多くの人の目に留まるようになっています。
患者の権利章典
大きな病院に行けばその待合室には必ず額に入った「患者の権利章典」を見ることができますし、ホームページからも閲覧できます。
患者の権利章典とは、医療者は患者さんの権利をどのように守ろうとしているのかを
患者さんに明確に意思表示し、患者さんに対する医療者としての心構えを宣言し ています。
ですから詳しくその内容を読み取り、患者さんはそこに宣言された内容を自らの権利として行使することが大切となります。
あなたの医療機関選びの目印になるかもしれませんね。