入歯は2年しか持たないの?
「2年前に作った部分入れ歯が合わなくなった」
「入れ歯を支える歯がグラグラになり使えなくなった」
「入れ歯にしてから、どんどん歯が抜けていった」
こんな様子で悩んでいませんか?
多くの方が入れ歯の不調を訴え、2年ぐらい経つと新しい入れ歯を作り治しています。健康保険を利用した保険診療では、その規則により6か月間は入れ歯を新調することができませんので、この期間を心待ちにして新しい入れ歯を作り治される方もおられます。
しかし入れ歯はそんなに短期間に使えなくなるものではありません。
私の患者さんでは20年ほど前に作成した入れ歯を今もなお快適にお使いの方もおられ、作り変えをされる方の方が少ない状態です。
いったい何が違うのでしょう。
入歯を支える歯を健康にする
部分入れ歯の場合、多くの方は歯がない部分に歯を入れるという考えで入れ歯が作られます。
しかし入れ歯を支えるのは残っている歯ですから、これらの歯が健康でなければ入れ歯を支えることができません。
残っている歯には、歯周病・むし歯・歯の根の病気などが発生している場合が多く、まずはこれらの歯が健康で長持ちするようにしなくてはなりません。
つまり、歯がない部分だけを修理するのではなく、口の中全体を健康にするという考え方で治療に取り組まなくては長持ちする入れ歯は作れないのです。
動かない入れ歯の噛みあわせ
作成した入れ歯は日々食事をするために使います。その時には入れ歯に力が加わりますが、その力により入れ歯が動くと支えとなる歯と歯ぐきに負担がかかります。
この結果、支えとなる歯は揺すぶられグラグラになったり、歯ぐきと入れ歯が合わなり入れ歯が使えなくなります。
ですから入れ歯は、噛む力が加わったときに動かないように作る必要があるのです。
このためには、唇・頬・舌の位置を見極め、これらの動きと協調できる形に作ります。さらに正しい顎関節の位置を確認し、その位置で上下の歯が噛みあうように、入れ歯だけでなく残っている歯の噛みあわせも同時に整えます。最後に上下の歯のすり合わせも調整が必要です。
噛む動作をするときにスムーズに擦り合うように上下の歯を調整し、入れ歯の動きが出ないようにすることで長持ちする入れ歯が作れます。
入れ歯の留め金具
入歯の留め金具には様々なタイプの物があります。
健康保険で作る入れ歯では、ばね式の金具を使うことが一般的ですが、このタイプの入れ歯では残っている歯に対しくぎ抜きを使うような力が加わります。
これもまた歯の寿命、入れ歯の寿命を短くしてしまいます。
入れ歯の留め具では、入れ歯を使っていることがわからないような細工をした留め金具や、強い力で噛む事にも耐えられるような設計のものがあります。
また留め具をひっかける歯にも、大きな力に耐えられるような細工が必要です。
留め具がかかる歯は「鉤歯(こうし)」と言いますが、この歯には本来の自分自身が噛むときに請け負う仕事に加え、入れ歯を支える仕事と入れ歯に加わる噛む力を支える仕事が加算されます。
このため大変傷みやすいのです。多くの場合は、冠をかぶせて隣同士の歯を連結し補強します。このような配慮が歯と入れ歯を長持ちさせるのです。
歯を失い、入れ歯を作りかえるごとに入れ歯の噛む能力は低下します。
あなたの快適な生活を楽しむために、早い段階でしっかりとした入れ歯を作るようにしましょう。