自由診療は贅沢な治療を
受けることなのか?
「自由診療です」と言われると、高額な治療、特殊な治療、特別は人が受ける治療、・・・など、一般的ではない治療を受診することと考えている人が多いようです。
しかしこの「自由診療」の意味を正しく理解し、適切に選択している人は少ないのが実態でしょう。
ちなみに歯科医師であってこの違いを的確に説明できる先生は少ないようです。
歯科医療では、「保険診療」「自費診療」「自由診療」といった言葉が使われます。
そこで「自由診療」を正しく理解するために、まず「保険診療」とはどのようなものかを理解することから始めましょう。
保険診療で賄われるもの
「保険診療」とは、社会保険制度に基づく健康保険制度により支給される医療サービスのことです。
1961年に国民皆保険が達成されるとすべての国民がこの医療サービスを受診できるようになり、「医療サービスを受ける=保険診療」という感覚が定着するようになりました。
この社会保障制度とは憲法第25条「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に基づいて、創設された制度です。
このため「保険診療」では、すべての医療機関で行われる治療について、
①治療の価格
②治療の方法
の2つを一定のものとして規定し、全国どこにおいても同じ基準で実施されるようにしました。
自費診療と自由診療
この「保険診療」の決められた治療の価格という点に対し、健康保険制度による治療を適応せずその価格とは異なる費用設定に基づき診療を行うことが「自費診療」です。
健康保険証を持ち合わせず「保険診療」の内容を受診した場合や、「保険診療」では認められない方法を用いた場合には、「自費診療」として費用を支払います。
「保険診療」が定めた治療の方法を用いずに行う診療が「自由診療」です。
特別な器材や材料、「保険診療」では認められていない治療の術式を用いる場合がこれに相当します。セラミックの歯を入れたり、インプラントを使ったり、あるいは矯正治療を行う場合などです。また、「保険診療」に認めらたこれらの内容であってもその進め方の手順が異なる場合も「自由診療」となります。
通常は数回の通院にて行う治療を1~2回で完了させてしまうような進め方を選択した場合がこれにあたります。
あなたに合った医療とは
多くの方は国民皆保険状態が日常的となっているため、「保険診療=医療」という風に考えがちです。
しかし「保険診療」はあくまで医療の一つの形であり、医療の中には「保険診療」がカバーしない様々な方法があるのです。
本来の医療では、これらの偏った範囲の中で医療行為を行うべきではなく、多くの方法の中からその患者さんに合った方法を選択し提供することが相応しく正しいこととなります。
繰り返しますが、日本人は当たり前のように「保険診療」を選択します。
それはそれが標準であり、正しいことのように感じているからです。
「保険診療」は先にも述べたように、行政が考える最低限度の生活を賄うために作られたものです。
あなたの生活が社会の中での最低限度であるというのであればそれはあなたに合った選択と言えます。
しかしもしそうでないならば、あなたの生活・経済力・社会的地位・嗜好・理想にあった医療を選択しなくてはなりません。
「自由診療」を受診することでは、より美しい、しっかりと噛める、歯を失わない、使い心地が良い、若々しいなど、あなたらしい、あなたのための医療を選択することが可能となるのです。