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足立優歯科

口の中のテロリスト達

口の中では私たちが意識しないレベルで
過酷な戦いが展開されている。
それは、歯周病菌と呼ばれる
悪玉菌と身体の免疫システムとの戦いである。
歯周病菌を放置すると、確実に体は蝕まれ、
あなたの寿命さえ脅かす結果を招くのである。

歯ぐきで繰り広げられる戦い

口の中には多くの細菌が共存している。消化器官の一つである口で発生するトラブルは、口から始まり肛門に至る消化器官内に影響を及ぼし、様々な箇所で病気の原因、あるいは、病気を悪化させる要因となる場合がある。
この戦いの主戦場である歯ぐきでは、免疫システムが応戦している。
そのことによりおおむね3つの問題が発生しており、血流を通じて拡散することで全身の病気に影響を与えている。

  • 細菌自体が身体の中に侵入する
  • 細菌の作り出す毒素が身体の中に侵入する
  • 免疫応答の結果、炎症性サイトカインが多量に産生される

歯周病が病気の原因、または、悪化させる要因となる可能性が報告された全身疾患

  • 脳血管疾患
  • 心血管疾患
  • 糖尿病
  • パージャー病
  • 掌蹠膿疱症
  • 慢性腎疾患
  • 慢性関節リュウマチ
  • がん
  • 骨粗鬆症
  • 低体重児早産
  • 誤嚥性肺炎
  • アルツハイマー病

歯周病と全身疾患に関する報告

  • 糖尿病

    日本人に多く認められる糖尿病は生活習慣の欧米化に原因があると言われるⅡ型です。糖尿病は以前から全身的リスク要因と考えられており、糖尿病患者の口腔内には進行した歯周病が存在することは臨床医においては周知の事であった。しかし現在においては、糖尿病と歯周病が双方向の関係性があることが知られている。
    糖尿病があるとアタッチメントロス(歯と歯ぐきの接合点が壊れる状態)が健常者よりも大きい報告があるが、逆に歯周病が発症しているとその歯周病の現場で産生される大量の炎症性サイトカインの影響により血糖値を下げる働きをするインスリンの作用を妨げている。

    この事実を裏付ける報告を総合的に評価すると、歯周病治療は糖尿病患者の病態に影響を与え血糖コントロールが改善すると判断される。

  • 動脈硬化と心血管疾患・脳血管疾患

    1996年にBeckらによるコホート研究により21〜80歳の男子1147名を対処として4年間にわたり調べた歯槽骨吸収をパラメーターとした歯周炎の存在が、虚血性心疾患の発症リスクを1.5倍に、虚血性心疾患による死亡リスクを1.9倍に、虚血性脳疾患を発症させるリスクを2.8倍に引き上げるという衝撃的な報告が最初になされた。
    その後多くの研究者が研究を追加し歯周病を持つ患者においては発症リスクが1.14〜1.34倍となるという結果を導いている。数値こそ小さくなってはいるが大規模な研究が統合された結果としてより信頼性が高くなり、動脈硬化を背景に発症する心血管疾患・脳血管疾患の発症リスクは歯周病により増加することは間違いがない。
    動脈硬化とこれに伴い発症する心血管疾患・脳血管疾患はその基盤に肥満があることから糖尿病も含んだ一連の症候群(メタボリックシンドローム)として考える必要がある。つまり肥満の進行とともにインスリン抵抗性が生じやがて生活習慣病である高脂血症・高血圧・糖尿病が進行する。そして最終的に動脈硬化から虚血性心疾患を引き起こし死に至るのである。つまり、歯周病と血管疾患の関係性については、肥満・メタボリックシンドローム・それと関連して発症する糖尿病などと歯周病は双方向性の関係にあるということである。

  • 早産・低体重児出産

    分娩のメカニズムについては不明な点が多いことは周知のとおりであるが、プロスタグランジン、IL-1,IL-8,TNF-αなどの炎症性物質による子宮収縮と頸管熟化がその機序と考えられている。歯周病の病巣部においてはこれらの炎症性物質が大量に産生されており、その結果として早産・低体重児出産のリスクを高めると考えられる。
    3mmを越える歯周ポケットが全体の60%を超えると早産・低体重児出産のリスクが健常者に比べて5.9~6.7倍に増加する報告があります。

  • 骨粗鬆症

    骨粗鬆症については、歯周病が骨粗鬆症のリスクファクターになるという研究報告はまだ存在していない。しかしながら2011年にPerssonらが白人788人(内女性52.4%)の集団を対象として3年間における腰と手部における骨折の発症リスクに対する前向きコホート研究を行った報告では、5mm以上の骨頂部吸収が30%以上あるグループで骨粗鬆症も有するグループの場合3.3倍であり、歯周病のみの診断されたグループの1.8倍と比較して明らかに高い結果が得られている。このことから骨粗鬆症で歯周病を有する患者では、骨折に対する十分な警戒を行うことが有用であると考えられる。

(歯周病を科学する:クインテッセンス出版より引用)

適切な歯周病への対処方法

歯周病が様々な病気の原因や病気を悪化させる要因となっているということは、すなわち、歯周病を治療することで、様々な病気が改善することが期待できる。歯周病を確実にコントロールし病状を改善し進行させないためには、まず適切な精密検査を行い、歯周病に罹患しているか否かを識別することである。(デンタルドック)歯周ポケットが深くなり、アタッチメントロスが確認された場合では、まず患者自身が口腔内の細菌を適切に除去しコントロールできる能力を習得することが必須である。(歯みがきトレーニング)ただし、歯周ポケットの深さが3mmを越える場合には日々のブラッシングによる方法では歯周ポケット内の清掃ができない。歯周病は歯周ポケット内で発症しているためこの部分を確実に清掃できるように歯科医師、歯科衛生士が口腔内の環境を改善しなくてはならない。状況によっては外科処置を行い、直視下で確実に歯石や縁下プラークを除去しなければならない。また同時にすでに感染がある歯周組織を切除することも重要となる。

歯周病改善のために行われる治療メニュー

  • 予防プログラム

    細菌が原因となる病気(虫歯・歯周病)について理解を深め、原因除去、健康回復、維持・増進をするための取り組みです。

  • 咬合調整

    過剰な力が原因となる病気(咬合病)から歯を守るため、上下の位置関係・歯の形・接触のさせ方・すり合わせなどを理想的に整え顎の動きをコントロールします。

  • スケーリング・
    ルートプレーニング

    歯の表面や浅い歯周ポケット内の歯垢(プラーク)と歯石を取り除き、歯ぐき(歯肉)の炎症をコントロールします。

  • 歯周外科手術

    深い歯周ポケット内の歯垢(プラーク)と歯石を取り除くと共に、歯ぐき(歯肉)や骨の形態を整え、炎症のコントロールとお手入れのしやすい状態にします。

  • 骨再生療法

    人工の特殊な薬剤を使い歯周病や咬合病により失われた骨を作ることで、歯周ポケットを浅くし歯を支える土台を安定させ、健康を取り戻します。